悪魔に取り憑かれました。
pansy-パンジー-

静まり返った教室。


ダイヤが壊した結界の破片が、光りながら消えていく。



私とダイヤはその教室の真ん中で、立ち尽くしていた。



さっき起こったことが、すぐに飲み込めない。



黒川さんは、ルビーという悪魔だった。


そして、私を不幸にしようとした悪魔でもあった。



なんでルビーは、私をそんなに不幸にしようとしたの…?



「真珠、帰るぞ」


「えっ」



いつもみたいに抱き抱えられる。


そのままダイヤは飛び上がって外に出た。



「待って!白金先輩が…」

「白金はそろそろ目を覚ますはずだ。あの結界…教室に入ってから気を失うまでの記憶はなくなるはずだ。でもお前の姿見たら思い出しちまうかもしれないだろ」



そっか、白金先輩、さっきの記憶なくなるんだ。


…私の告白も。



「それに白金や学校のやつらの記憶から黒川って女の記憶はもう消えるはずだ。あいつはバレないようにお前に近づくために人間に化けてたんだろうからな」



町の上を飛びながら、ダイヤはそんなことを言った。



ルビーが白金先輩と同じマンションに引っ越してきたのも、白金先輩と同じイギリス人のハーフに化けたのも、二人でお茶するなんて嘘ついたのも、全部私を不幸にするため。



…なんで私なの?


どうしてルビーはそんなに私にこだわるの?



『真珠、あんたを不幸のどん底に落としてやる!』



そう言った時のルビーの顔を思い出しただけでゾッとする。


ただ睨むだけじゃなくて、私に何か恨みでもあるような…。



もしかして、ルビーが私を狙うのは何か理由があるの…?
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