悪魔に取り憑かれました。
しばらくして、母親が帰っていった。



カーテンの陰に隠れていた俺は、顔を出した。



「おにーちゃん!」


やっぱり真珠は、俺を見てニコニコしてる。



「お前、病気なのか?」


ベッドの隣の椅子に腰掛けながら、聞いてみた。



「うん、治るまでおうち帰れないんだ」


…そうなのか。



「あとね、お薬飲んだせいで髪の毛なくなっちゃったんだ。だからお帽子かぶってるの」



………。



なんでこいつはこんな笑顔でいれるんだよ。


自分の病気のこと分かってないのか…?



「おにーちゃん、なんで羽生えてるの?」


「悪魔だからだよ」


「森のくまさんは羽生えてないよ?」


「だからくまじゃねーんだよ!」



俺が怒っても、真珠はキャッキャと笑う。


そんな真珠を見ていたら、こっちまで笑えてきた。



「おにーちゃん、また明日も来てくれる?」



…う。


真珠がキラキラした目で俺の顔をじっと見る。



「…ああ」


「やったー!」



本当に嬉しそうにはしゃぐ真珠を見ていると、よく分からない気持ちになる。



人間に姿を認識されたのも初めてだし、来るだけでこんなに喜ばれたのも初めてだったから。
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