悪魔に取り憑かれました。
「おお………!」


オーブンを開けると、おいしそうなカップケーキが並んでいる。


やっと成功した…!



「すごいよ!上手くできてるよ!」


「やっとまともに焼けたな」



あれ?


また、悪魔の赤い目が一瞬青くなった気が…


やっぱり気のせいかな?



「ありがとう!……あ」



今更ながら、ふと気になったことを聞いてみた。



「あんた、名前なんて言うの?」



悪魔は、私をぽかんと見つめた。



「…そっか、覚えてないよな」



え?


名前、聞いたっけ……?



「あんた今まで名乗ったっけ?」

「いや…なんでもない」


ん…?

どういうことだろ……?


こいつの勘違い…かな?



「で、名前は?」


「…ああ」



悪魔は答えた。



「ダイヤ」
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