アメトムチ


玉置の冷ややかな視線に居た堪れなかったのか、振られたらしい女の子は少女漫画でよく見るワンシーンのように足早にその場を去っていった。

「 ちょっと玉置 」

「 なに 」

「 あれはないでしょ 」

「 なにが? 」

「 泣かすとかサイってー! 」

あぁ、そのこと。と興味がなさそうに再び前の席へと腰を下ろした。
いや、そこ坂口君の席なんですけどね。とかはもう考えないようにしてる。


「 振られた側の主張ってやつ? 」

そう言って不敵に笑った玉置。
こんなに性格悪い奴って存在するんだと思ったら腹立たしさを通り超して、玉置が可哀想な奴に見えた。


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