スイーツ男子
帰り道、
タケルと私は無言で家に向って歩いた。
いつもなら騒がしく聞こえない風の音や
子供達の笑い声がやけに大きく聞こえてきて、
余計に緊張感が体にピリリと感じる。
前一歩先に歩くタケルは、
家ではなく、家の近くの公園に寄り道をする。
ようやく、ちゃんと2人で会話するんだと思うと、
心臓がばくばくと音を立てる…
ベンチに腰をかけたタケルと少し離れて、
私も腰をかけた。
私たちが付き合っていた頃、
学校帰りよくこの公園にこうして、
ベンチに腰をかけていろんな話したっけ。
何を話すわけでもなく、
本当にどうでもいい話。
その時間が何よりも好きな時間だった。
ただ、そばに居られるだけで、
それだけで幸せだって思えたから。
そんな幸せな時間は、今となっては悲しい思い出でしかない。
思い出したくもないし、なかったことになればいいのにと思う。
まさかまた、ここにこうして二人でベンチに座ることになるなんて思ってもみなかった。
「俺、今でも湊のこと好きだから」
何を言い出すんだろう。
自分で振ったのに…なんで好きとか言うんだろ…
…
悔しい…なんで…どうして…
今更だよ…