Polaris

どうしてイツキはこの先を『言わないで』と頼むのか。その真相はきっと、この瞳の奥にある。

そう確信してはいたけれど、それを聞くのにはとても勇気が必要だった。そして、その勇気は今の私には無かった。


「仮に想いあっていたとしても……俺とキョンキョンは、結ばれない運命だから」

「運命……?」

「そう。運命」

「なに、運命って……だってさっき、こうして出会ったことを〝運命〟だって言ったじゃない。それなのに……結ばれないのも、運命なの?」


イツキの言葉には、まるで納得がいかなかった。矛盾しているとさえ思った。そんな私の考えに、言わずともイツキは参ったというような顔をする。


「そうだね。それも、間違いなく運命。俺とキョンキョンは、きっとあそこで出会って惹かれ合う運命だった。でも、どれだけ惹かれ合ったって、結ばれない。そういう運命。決まり事なんだよ、きっと」

「なに、それ……」


意味が分からない。イツキはそんな風に私を言いくるめられるとでも思ったのだろうか。

だって今の言い方だと、少なからずイツキは私に好意を持ってくれているはず。

それなのに、結ばれない? それって、どういうこと?

こんなに幸せなはずなのに、こんなにも辛くて苦しい矛盾、理解しろという方がおかしいでしょう?

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