Polaris
「い、樹……?」
「………ずるいよ。キョンキョン」
「えっ」
「せっかく、いっぱい我慢して、耐えて、ちゃんとかっこ良く終わろうと思ってたのにさ。そんな事言われたら……嬉しくて、幸せで……甘えたくなるじゃん」
どうしてくれんの? と言って、耳元でヘラヘラと笑った樹の声は、少しだけ震えているような気がした。
私は、そんな樹の背中に腕を回して少しだけ力を入れる。
「……甘えてよ。好きなだけ」
「っ……ああ。もう本当、ずるいなぁ」
「何がよ」
「何でも」
はは、と笑う樹はしばらく私を抱きしめたままでいた。そして大きく深呼吸をした後、ゆっくりと私から離れる。そして、場所を移そうと提案した。
新幹線はどうするのかと思ったけれど、樹にこの新幹線に乗って欲しくないと思っていた私は、その提案をすぐ受け入れた。
私は樹に連れられてしばらく歩くと、私達は大きな公園へとやって来た。その大きな公園の中のベンチに二人並んで腰掛けると、樹が早速口を開いた。
「……俺ね、ずっとキョンキョンに隠してたことがあるんだ」