Polaris

樹の言った言葉が嬉しくて、私の視界がまた少しずつ潤んでいく。


「ねぇ……また、一からキミのことを知っていきたい。きっと、辛い思いばかりさせることになるんだろうけど……また、キミのことを好きになりたいって思ったよ」


ドクン、と大きく胸が跳ねた。それは、ついさっきまでの私の胸の中の不安や悲しみを掻き消すような勢いで、私に力を与えてくれた。


「……い、つき」


潤んでいた瞳から、大粒の涙が流れ出る。頬に何通もの道筋を作った涙は、止まることを知らずに流れ続けている。

病室に入って樹の反応を見たとき、正直、一瞬だけ逃げ出したくなった。頭の隅っこで、本当に私の事をもう一度好きになってもらえるのか、自信が無くて迷っていた。

だけど、きっと大丈夫だ。


『ずっと、キョンキョンのこと、好きでいたい』

そう言ってくれたあの日の樹のためにも、私のためにも……私は、また頑張れる。


「……私、頑張る。また……もう一度、貴方に好きになってもらえるように、頑張るから」

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