Polaris
第8章 拝啓、世界で一番に愛する君へ



◇ ◇ ◇



「……あの」

「え……? あ……あの病院の……」


後ろから声がかかり、振り向いた。するとそこには喪服に身を包む白い肌の女の子が立っていた。

見たことのある顔だなぁ……と思い、思考回路をフル回転して、彼女が誰なのかを思い出した。


「この度は、ご愁傷様です。心からお悔やみ申し上げます」


彼女が、とても悲しそうな顔をした。

樹が病院を退院してから、どれだけの月日が流れただろう。

病院にいる間、何度も顔を合わせたナースさん。樹も私も、とてもお世話になった。


「あの、これを青柳さんから預かっておりまして……」

「え……?」


彼女が私に差し出してきたのは、隅っこに花柄が描かれた白い封筒。裏を向けると、見覚えのあるペンギンのシールが貼られていた。


「このシール……」

「そうです。あの時のシールです」


いつの日か、樹が私に買ってきてほしいと頼んだシール。これは、この為に買ってきてと言ったのか。

< 194 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop