Polaris
イツキは、私をバカにするかのように再び「あはは」と声を出して笑い始めた。
『ははは、本当キョンキョンって面白いよね。分かったつもりでいたけど、なんかちょっとイメージ変わったかも』
面白い? 分かったつもりでいた? イメージ変わったかも?
色々つっこんでやりたいところだったけれど、そんな事よりも苛立ちが勝ってしまった私はまるで念仏でも唱えるかのようにして口を動かした。
「うるさいイツキ。ばかイツキ。イツキなんか吹雪に打たれて氷みたいに固まっちゃえ」
『ははは! いくら北海道でも6月に吹雪はないからねー、残念』
「な……そ、そんなこと分かってるわよ!バカ!」
北海道イコール雪。そんなイメージが年中無休でついてしまっている私。今が6月だということをすっかり忘れてしまっていた。
ああ、もう。恥ずかしい。この単細胞な頭どうにかならないかな。
『……あ。でも、今年は6月だけど雪降ったかも。ついこの間』
「えっ⁉︎ 嘘」
『いや、ほんとほんと。ニュースでも結構大々的に取り上げられてたけど、見てない?』