Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「遥香さん」
「……っ、ごめんなさい、凛音ちゃん」
あたしの言いたいことが分かったのか、抵抗する事なくその場に止まった遥香さん。
あたしはその謝罪に首を振り、一歩前へ出て遥香さんの隣へと並ぶ。
「智広くん、充くんはどこにいるの?」
遥香さんはさっきみたいに動揺はしておらず、力強い瞳で真っ直ぐチヒロを見据えている。
そんな遥香さんにチヒロはクスリと笑った後、気だるげに首を傾けた。
「もしかして、裏切り者の充と話したいとか言わないですよね?」
「……っ」
「……ハッ。アナタも大概甘いですね」
「………」
心底馬鹿にしたような笑みを浮かべながら、あたしと遥香さんを交互に見るチヒロ。
チヒロからすれば遥香さんの言動は理解出来ないのだろう。
遥香さんに何も聞かず、勝手に行動を起こした充くん。
いくら遥香さんの事を想ってやったのだとしても、所詮それは自分のエゴ。
やっていい事と悪い事がある。
だけど、遥香さんは自分のエゴを通した充くんを許そうとしてる。
だからチヒロは甘いと言ったんだ。