Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「後妻と言ってもよそよそしさなんて全くなくてね、お婆様は十夜のお父さんを我が子の様に可愛がってた」
「………」
「私のお父さんも叔父様も叔母様もみんな仲が良かったの。だから、みんなで十夜のお父さんとお母さんを説得した。『会社は俺達が継ぐ。だから二人は離れるな』って」
まるで自分の事の様に語る遥香さん。
その切なげな表情から、遥香さんの十夜のお父さんとお母さんへの親愛なる想いが感じられた。
「……けど、お爺様はそれさえも納得しなかった。お爺様は何が何でも十夜のお父さんを後継ぎにしたかったの。だから再度お見合いをさせた」
「そんな……」
そこまで十夜のお父さんに執着する理由って一体……?
「叔父様達は最終手段を実行するしかなかった。それが“駆け落ち”」
……成る程。
十夜のお父さんとお母さんはお爺ちゃんを説得出来ないと思ったんだ。だから駆け落ちをした。
「十夜のお母さんがね、お父さんをさらったの」
「えっ!?」
「お見合いしてる所に乗り込んだらしくて。まぁ、叔父様達の入れ知恵だと思うけど」
いやいやいや。遥香さん、そこ笑うとこじゃないでしょ!
だってお母さんがお父さんをさらったんでしょ!?
女の人がさらうなんて聞いた事ないよ!
クスクスと陽気に笑う遥香さんにあたしは苦笑しか出来ず、それを見て何だかあたしの方がまともに思えてきた。
「さらった後、十夜のお父さんは再度説得を試みた。けど、お爺様は断固として拒否。最終的には十夜のお父さんを勘当したの」
「勘当……」
そうか。やっと分かった。何故十夜が“桐谷”なのか。
「十夜のお母さんの姓が“桐谷”だから……」
多分、結婚した時に十夜のお父さんが婿養子になったんだろう。
だから“桐谷”なんだ。