10年前の約束。



「じゃあお互い…ってこと?」


「でもまだいまいち…。」


「なんで?」


「似てるんだけど…

あの子犬のワルツを聞いちゃうとね。」


「玲音くんが言うように、上達したんじゃなくて?」


「うーん…。上達したんじゃなくて

ちょっと下手に感じたの。

お兄ちゃんはもっと軽やかだったの。

それに…スピードももう少し速かった。

大貴くんのはちょっと重くて…

子犬じゃなかったんだよね。」


「まぁそこらへんは私にはよくわかんないけど。

でも久しぶりに弾いたなら腕落ちたとかじゃない?」


「うん、それも思ったんだけどさ。」


「でもイケメンだし優しそうだし

好きになるかもじゃん。」


「………それはわからないけど。」



そんな話をしていたら先生が来て

私は席についた。



< 35 / 143 >

この作品をシェア

pagetop