10年前の約束。



翌日ー


「凛音!」


「………あ、ごめん。」


ボーッとしちゃった…。

今は優希とのピアノの時間なのに……

どうしても昨日のことが頭から離れない。


「どうした?」


「……………実はね、お兄ちゃんらしき人が現れて

昨日告白されたの。

10年前に好きになったって。

今でも好きだって。」


「……………へぇ。」


「なのに私の心は全然喜んでないの。

それがちょっと悲しい。


それに、その人のピアノの腕が落ちてて…

というか、昔と全然違うの。」


「………そいつ、本当に本人なわけ?」


「見た目はすごく似てる。話し方もね。

10年前、私が双葉病院に入院していたことも

そこでピアノを好きになったことも知ってた。

私が子犬のワルツを好きなことも………。」


「ふーん…。」



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