10年前の約束。
「凛音さ、なんでこの曲を自由曲に選んだわけ?
あんまメジャーじゃねーしコンクール向けでもなくね?」
「お兄ちゃんとの出会いの曲なの。
この曲から始まったの。」
「………よく覚えてんな。」
「ほんとだよね。
忘れちゃったこともたくさんあるのに
この譜面見たとき絶対これだ!って確信したの。」
「………現れたやつもこれ、弾けんの?」
「うん、弾けた。
でもやっぱり違ったんだよね。
お兄ちゃんはもっと上手かった気がしたのに…
美化されてただけなのかな…。」
「俺、そろそろ帰るわ。
明日の朝はやるからな。」
そう言って優希は帰っていった。