俺様黒王子とニセ恋!?契約
優しくされたら期待します
「うう、ん……」


唸りにも近い自分の声で、私は目覚めた。


そのままうっすらと目を開けて、ボーッとしたまま天井を見遣る。
モゾッと身体を動かしてはみるけれど、自分でも初めて感じるような疲労感で、身体を起こすのが辛かった。


額に手を当てて、眠る前の記憶を呼び起こす。


昨日私は……。


そう考えた瞬間、ハッと我に返った。
身体が辛いなんてボーッとしてる場合じゃない!!
慌てて布団を跳ね退けようとした瞬間。


「……澪? ……起きたのか?」


すぐ隣からそんな声が聞こえて、ビクッと身体を竦ませた。


「え……?」


わけがわからなくて、一瞬頭がパニックに陥る。
そんな私を気にする様子もなく、隣で眠っていた篤樹が、眉間に皺を寄せながら身体を起こした。


「えっ……。……ええっ!?」


引っくり返りそうな私の声を聞きながら、篤樹は一つ大きな欠伸をした。


「お前はこのまま寝てていいぞ」

「どっ……どうしてっ……」


慌てて大きく辺りを見回す。
どう見ても私の知らない場所だ。
ここはどこっ!?と慌てる私の前で、篤樹はベッドから抜け出ると身体全体で大きく伸びをした。


「おはよう。澪」

「お、おは……」


反射的に返事をしかけながら、やっぱり意味がわからない。
そんな私を振り返りながら見下ろして、篤樹は小さく肩を竦めた。
< 145 / 182 >

この作品をシェア

pagetop