俺様黒王子とニセ恋!?契約
高校生の時の二年上の先輩。
学校中の女子を虜にしていた弓道部の王子様。片桐篤樹(かたぎりあつき)。
あの篤樹先輩がうちの会社の営業部にヘッドハンティングされて、今日から同じオフィスで働くようになっただなんて……。


これは夢。夢なんだ、と自分に言い聞かせてから膝立ちして、ベッドの上の篤樹先輩をそおっと観察してしまう。


ああ……眼福とはこういうことだと実感する。
もう、身悶えしそうになるくらいカッコいい。


人より少し色素の薄い茶色い髪。
短めにすっきり整えていた高校生の頃より長く、前髪は目元にかかっているけど、違和感を感じるほどではない。


今は閉じられているスッとした切れ長の目。
伏せているとわかるけど、とても睫毛が長い。
その奥の茶色い瞳は、今日の彼の歓迎会の時も、高校生の頃と変わらず周りの女性社員をくぎ付けにしていた。


「う、……ん」


ちょっと乾いた薄い唇から、どうにも色っぽい低い声が漏れ聞こえた。
ドッキーンとしながらハッとする。


篤樹先輩の質の良さそうなブラックスーツ。
このまま寝かせてしまったら、朝には無惨にシワシワになってしまう。


「え、えっと……篤樹先輩、起きてください」


反応を求めて声をかけているのに、そおっと小さな声しか出ない。
当然彼を起こす力にもならず、私はゴクッと唾を飲み込みながら、シングルの上着に手を掛けた。
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