俺様黒王子とニセ恋!?契約
営業部は商品を売り上げてナンボの部署だ。
もちろん、篤樹の希望通りのイベントが開催出来れば、初期売上にかなり貢献出来るだろう。


そして営業企画部は、その為のイベントや販促を企画する。
もちろん出来ることと出来ないことがあるから、見切り発車するよりは規模の縮小を提案した金子さんの言い分もわかる。
実際、今までそうやって、規模で妥協しても成功させてきたんだから。


ここまで来ると、篤樹と金子さんのガチンコプライド勝負の様相を呈して来る。
三人しかいない会議室の空気が、どんよりと重くなっていく。


「……四宮さん。君はなんか提案ない?」


大きく足を組んで腕組みして、溜め息交じりに、篤樹がいきなり私を指名した。


「えっ!?」


今までこういう会議で意見を求められたことなんかない。
私はただのアシスタントで、プロジェクトの中枢に関わる役割ではないからだ。


焦る私を一瞥して、篤樹は言葉を続けた。


「中立案でもいいし、どっちかよりの意見でもいい。それほど準備期間もないことだし、会議室で沈黙を続ける時間がもったいない」

「片桐。四宮さんはただのアシスタントだよ」


動揺して口籠る私に、金子さんが助け舟を出してくれた。
思わずホッと胸を撫で下ろすと、篤樹が不快そうに眉を寄せた。
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