オレンジライト〜明るい日々へ〜
「お兄ちゃん…2人とも助かるよね…?」
私は涙を流しながら言った。
「きっと助かるよ。きっと…。」
半泣きのお兄ちゃんは優しく言う。
佳苗さんは、その会話を切ない瞳で見つめている。
しばらくして、初療室から医師の藤沢俊彦(ふじさわ としひこ)先生が出てきた。
「先生!」
お兄ちゃんがそう言って立ち上がり、私たちも同時に立ち上がる。
「残念ですが、お2人とも亡くなられました。」
藤沢先生の声はいつもより少し低かったけれど太い声だった。
私はさらに泣きながら、お兄ちゃんに抱きついた。
「そんな…うそだろ…先生!!」
お兄ちゃんも涙を流す。
「本当に申し訳ない。」
先生は深々と頭を下げた。
そして、ゆっくり顔を上げた。
「先生。一生懸命処置してくださってありがとうございました。」
佳苗さんも瞳をうるうるさせながら言うと、先生は少しうなずいた。