オレンジライト〜明るい日々へ〜

私たちは、しばらく待合室で待たされた。


すると、救命救急センターの看護師、高木麻衣(たかぎ まい)さんがこっちへ走ってくる。


麻衣さんは佳苗さんに少し頭を下げて、私とお兄ちゃんの前に立った。


「お父さんとお母さん、本当に残念だったね…。でもね、2人とも一生懸命生きようと、よく頑張った思う。」


私とお兄ちゃんはうつむいていた顔を上げる。


麻衣さんはポケットから何かを出してグーにしていた手を開いた。


「これ、お父さんたちからあなたたちにって…。」


その手の中には、同じ色、同じ形をしたネックレスが2つあった。


このネックレスは数年前の結婚記念日から両親がずっとつけていたもの。


「これ…」


私がつぶやいた。


「意識がだんだん遠のいていってく中で、お父さんとお母さん言ってたよ。笑顔を忘れないで幸せに生きてほしいって…。」


そう聞いた瞬間、私たちは号泣した。


両親からの願い、絶対忘れない!絶対叶えるんだ!って、そう私は強く思った。


その日からずっと私たちはネックレスをつけている。

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