【完】冷たい彼との罰ゲーム
「そろそろ、戻ろうぜ」
「あ、待って!!」
教室に戻る前に聞きたいことが、あるんだ。
「罰ゲームは……もう終わってしまったけど、私たちってこれから……どうなるの?」
少し、気になってた。
「罰ゲームとは別で、付き合えば?」
“付き合えば?”って、猪原くんとのことなのに……。
でも、それでも、嬉しい。
そう言ってくれたこと。
「ところで……」
教室へ戻る途中、猪原くんが話しかけてきた。
「……?」
「なんでお前、元気なかったわけ?」
あっ……。
そうだったんだ……。
気にしてくれてたんだ。
だけど、イジメられてたなんて、言えないし……。
「言っておくけど、ほんとのこと言えよ?」
こ、こわいっ!!
けど、私は
「いや〜……駅前のケーキ屋さん、人気すぎていつも売り切れてさ〜……」
ウソをついてしまった。
チラリと猪原くんの調子をうかがうと、
「へえ〜」
と目は笑っていないのに、ニヤリと笑って
──ドンッ!
そんな大きな音を立てて、私は後ろの壁に背中をつけた。
か、壁ドン!?
「お前、俺今ほんとのこと言えつったよな?」
ヒェエ……
怖すぎる。
というわけで、私は仕方なく全て話終えた。
猪原くんは、
「は? なんで俺に言わなかったんだよ」
と怒りっぱなしだった。
そして、教室についた頃には
みんなが一斉に、私たちを見て唖然としていた。
だって、私たちは指を絡ませ、手を繋いでいたから。