【完】冷たい彼との罰ゲーム




─日夏side


「よーし、出来た!」

フフッとつい笑みが溢れてしまうのを、慌てて口を抑える。


猪原くん、喜んでくれるかなー。



ウキウキしながら、学校に向かった。



「あ、猪原くん!」

猪原くんを見つけると、すぐさま近寄った。


猪原くんは、また机に顔を伏せ眠っていた。


……なにも言ってこないなー。

寝てるのかな。


「……あれ?」


私はチラリと猪原くんの耳元を見ると、猪原くんの耳にはイヤホンがついていた。


音楽聴いてるのかな?


猪原くんってどんなの聴くんだろ……?


なんて、興味津々な私は、猪原くんのイヤホンを勝手に片方自分の耳へと持って行った。



……ん?


あれ……?


「え、これ音楽止まってるよ!?」


なにも流れてこない……。


「お前がうるさいから、音楽聴いてるフリしてたんだよ。来ないと思ったのに」


「はあ……」と溜め息をつく猪原くん。


「あ……ご、ごめんね!」


「謝るなら、どっか行け」


「あ、あのね! お弁当作ってきたの!! よかったらお昼一緒に食べない?」


そう、私は朝から猪原くんの分までお弁当を作ってきたんだ!!


「……どっか行けつったろ」

「猪原くんっ! 好き!」


必ず聞こえてくる、「はあ……」と大きくつく溜め息。


相変わらず、冷たいんだから……。


そんなとこも、好きなんだけどね!


運悪く、予鈴がなったので、仕方なく席に戻った。


猪原くんの席は1番後ろ。

私の席は、前から3番目。


そんなわけで、猪原くんを見つめることは、授業中にできないっ!!



お昼、また頑張ろっ!!





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