綺麗な薔薇には闇がある
二人が見せる、どこか儚げな微笑みに、

風に揺れる木々の葉と共に、心がざわざわと音を立てた



『……お兄ちゃんに会いたいなぁ』


『……? どこか遠くにいるの?』


『うん。 とっても遠い所にいるんだよ』



すると、今まで黙っていた瑠奈が口を開いた


『……絶対に手の届かない所に、ね』


『───え……?』



瑠奈は突然立ち上がると、数歩歩き、

ベンチに座る私の正面で立ち止まった


そして自身の前髪を片側へ寄せ、片目を隠してみせる



『ねぇ……この顔、見覚えない?』


その一連の動作を見た刹那、


心臓が嫌な音を立て、冷たい汗が背筋を流れた
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