雪降る夜に教えてよ。
それからどやどやとお局様軍団が集まって、桐生さんの近くでたむろってる。

日常は戻って来たかな。

いつもの通り早良さんが賑やかに到着して、しきりに謝る棚橋さんも到着。

浅井主任はまだだけど、デスクの子たちが、って言っていたから、主任はいいだろうと判断。

お局様たちの後ろから声をかける。

「あの……」

「ああ。みんな出社した? こっちに集まってもらえるかな?」

それからにこやかにお局様たちを見回した。

「僕はシステムの子たちに話があるから、遠慮してもらえる?」

言っている言葉はやわらかいけど、有無を言わせぬ口調ってこういう事を指すんだろうな。

それから早良さんたちと訝しげな顔で、桐生さんの前に立つ。

「まず、おはよう!」

「おはようございます」

「えー……。秋元さんは知ってると思うんだけど、先週の雪で、浅井さんが事故に遭いました。その時の電話じゃ、月曜には退院するって話だったんですが……」

足を挟まれたは知っているけど、入院していたのは知らない。

「もしかして、酷いんですか?」

私の声に、桐生さんは困ったように微笑みを見せて頷く。

「検査結果として、大腿部骨折と肋骨も何本かやられていたみたいだね。肋骨ってけっこう気付かなかったりするから」

ひゃ~。確かに、ヒビが入っていても、内臓に刺さらないかぎりはあまり痛くないって聞くもんね。

「で、一月くらい杉本室長がヘルプデスクを見る形なんだけど、ここだけの話、あの人コールセンター上がりの人だから、システムヘルプデスクは僕が見る事になります」

ゲ……。

「そこ、嫌な顔しない」

桐生さんを見ると、片眉を上げながら私を見ていた。

失敗した。表情に出ていましたか。

「ただ問題が一点あって、今は、僕の方でも社内セキュリティを強化する時期でもあるんですよね」

あー……そう言えば桐生さん、今週から忙しくなるって言ってたような気がする。

「SEを持ってくることも考えていたんですけど、あっちもちょっと忙しいらしくて、僕がひとりでやることになっていたんですけど……」

早良さんが難しい顔で首を振った。

「専念するならともかく、兼任では難しいのでは?」

「正直、その通りなんですよね」
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