雪降る夜に教えてよ。
真上を見ると、桐生さんの楽しそうな顔。

「何があたったんです?」

「アクセサリーらしい」

「えー……。うちの経理の人が選んだアクセですかぁ」

「なかなか可愛らしいブレスだったぞ?」

ほれ、とでも言うように桐生さんは私の手からカーナビの箱を取り、替わりに小さな箱をくれた。

「強制的な……」

「気に入らなきゃ、また替えてやるって」

とりあえず確認するか……と思って小箱を開けてから、すぐにまた閉じる。

視界に入ったのは、細い銀のチェーンに、ティアドロップ型の透明な石がいくつかついたブレスレット。

毎年、経理のオッサン連中が賞品を選ぶはずなんだけれど。

いや、コレは違うでしょう。

何故なら、このブレスレットは、つい先日、雑誌で見たことがあるから。
早良さんに見せられて『可愛いですね』って言っていた記憶もある。

ブランドのブレスレットだし、カーナビとか機械系なら、うちの販売品も混ぜれるけれど、何万もする賞品はありえない。

「気に入らないか?」

頭上を見ると、微笑んでいる桐生さんの顔。

「えー……と。そんなことはないですが……」

「じゃ、そういうことで」

言うなり、桐生さんはスタスタと杉本室長の方に歩いて行った。

「何々? どんなんだったのぅ?」

佳奈が箱を見てるので無言で渡す。それを開けて、ふたりで覗き込んだ。

「……おお」

佳奈と夏樹さんは目が点になっている。

「やるねぇ。桐生さん」

「なんてさりげなく渡すんだろう……」

「でも、普通に渡したら、さなちゃん受けとらなさそうだしねぇ」

やっぱりそうだよね。って言うか、そこ、感心するところじゃないし。

箱を返されて、思わずこめかみをかく。

「お。今のは俺でも解ったぞ。秋元女史が困り顔だ」

夏樹さんにからかわれて溜め息。

「や~……。お返しに困る」

「私あげますっ! で、いいんじゃないのぉ? クリスマスだしぃ?」

佳奈の意見は絶対に無視しましょう。
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