生きる。~番外編~



「由茉様。」


玄関から聞こえる男の声。

きっとあれが"片桐さん"なんだろうな。


「あ、こっちお願い~!

一輝あとおねがい。

ちょっとトイレ~!」


………相変わらずだな、そういうとこ。

ガキの頃からかわんねー。


「失礼いたします。」


「あぁ、そこ置いといてくだ…」


………え?


「………かしこまりました。」


「え、大和さんですよね?

なんで……」


「……自己紹介遅れました。

現在由茉様に仕えている片桐大和です。

よろしくお願い致します、一輝様。」


「いや、あのすげー変な感じなんで

それやめてください。」


「………そういや、由茉様は

輝さんの娘だったな。

すっかり忘れてたわ。

一輝が輝さんの息子だったこと。」


「じゃあ今は大和さんが由茉を…」


「専属執事だからな。」


「そうなんですね。

俺全然気づかなくて…」


「俺も。

ここに来たことは何度かあったのにな。」


「え、そうなんですか?」


「当たり前だろ。」



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