白い願い
立花大志(タチバナ タイシ)
気が付けばボクもボクを失っていた。

嘘を吐いて周りに合わしていた。

笑って弱い部分を誤魔化していた。

泣き方を忘れて頼ることを恐れていた。

もしもこの世界が悲しみだけの世界ならボクは泣いて喜ぶだろう。

ボクだけじゃなくて皆が悲しみに暮れているから。

だけど人は欲張りだから、快感を知っているからこの望みなんて叶わないんだろうね。

あぁほら、ほら。

誰かが泣いてる啼いてる。

けどたかが一人が泣いていても見てみぬフリ。

ボクは今まで何度こうして目を逸らして来たんだろう。

きっとあの子も気付いて自分を失っていくんだろうな。

個性なんて徐々に消えていって。

ねぇ君はたかが群衆の一人でエキストラの一部のボクに笑い掛けながら近付いて来たよね。

なぁ?ボクは怖かったんだよ恐れていたんだよ。

過去を知れば誰も彼もが同情染みた顔付きになって「自分が皆とは違う人間なんだ」って思い知らされるのが。

誰も彼もが闇を抱えているはずなのにね。

でも君は突き放しても突き放しても半泣きのまま胸ぐらを掴んで教えてくれだよね。
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