めぐり逢えたのに
私は、私たちのことを全然わかってくれない拓也にちょっとカチンと来た。
佐々倉は、私の恋を応援してくれてたし、私だって、佐々倉には幸せでいて欲しいから、心配しているだけなのに。佐々倉と私はそんな関係じゃないんだから!ただただ、お互いの利益と世間体のためだけに結婚してるだけで、純粋な偽装結婚なのに。

「……拓也だってどうだか、わからないけどね。」

私は反撃を試みる。

「え〜、何? オレのこと疑ってるの?」
「だって……、誰にでもあんな笑顔で笑っているんでしょう…、周りには綺麗な人もいっぱいいるし。」
「万里花さんが一番可愛いよ。」

拓也は笑い出していた。

「もう!」

私もつられて笑っていた。

私たちはこうやってすぐに笑って、不安な事や心配事をなかったことにするのが上手だった。
いつまで続くかわからないからこそ、いつでも楽しく笑って過ごしたかったのだ。

私は拓也の首に手を回してキスをせがんだ。拓也は私の腰に手を当てて私を引き寄せると、チュッと音をたてながら首筋にキスをしてきた。



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