めぐり逢えたのに
佐々倉は、パソコンをチェックしながら声をあげて笑った。
からっとした晴れやかな笑い声を聞いていたら、父の声が一緒に混じっているような錯覚を覚えた。

「ま、直樹くんに任せておけば、『戸川』も『万里花』も間違いないだろう。」

父の声がまた耳に蘇る。

私は、ファイルを次々と開けていく佐々倉の横顔を見つめる。
疲れきって、げっそりとやつれた顔。ずっとスクリーンを見ているせいか、目も落ち窪んでしょぼしょぼしていた。

「何か見つかった?」

「………」

佐々倉は私の質問に答えることなく無言のまま次々とファイルをクリックして開けていく。私は構わずに続けた。

「今朝の封筒、…本気なの?」

佐々倉はまた無言だった。
佐々倉は私の言った事などまるで聞こえなかったかのように無反応で、黙々とファイルをチェックしていく。目的のものが見つからないらしく、佐々倉は次第に苛立っていった。

「出て来ない……」

「どんなファイル?」

「田中副社長と戸川邦夫社長がやり取りしていたらしい経過のわかるものなら何でもいいんだ。報告書かメモか何かあるはずなんだが。」

100以上もあるファイルをざっと見て気が遠くなりそうだった。

「あれ?」

気になるファイル名がある。

「ちょっと、これ、開けてみて。」



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