めぐり逢えたのに
時が全てを溶かしてくれるというのは、多分真実だ。
あれから、なんだかんだと時はたち、私たちはかわいい女の子を授かった。
小野寺拓也は今や押しも押されぬ大物俳優で、あちこちで彼の顔を見かけた。その度に、私は少しだけ胸がざわついて、甘酸っぱい気持ちになる。
今でも褪せることなく輝いているあの日々も私の大切な宝物だけれど、手の中にいる小さな宝物がにこっと笑うと、私はしみじみとした幸福感に包まれる。
私は幸せだった。
直樹は私がちょっと驚くほど子煩悩で、めいっぱい甘やかすものだから、私はそんなに甘やかすと、わがままで傲慢な子どもに育っちゃうよ、といつも注意しなければならない。
そうすると、直樹は、「『佐々倉のノゾミ様』の誕生か。いいんじゃないの?」と笑って一層希美を甘やかす。
私は、それも悪くないか―—、と呟いて、嬉しそうにいないないばあをする直樹とににこにこと笑う娘を飽きる事なく眺めていた。
(完)
あれから、なんだかんだと時はたち、私たちはかわいい女の子を授かった。
小野寺拓也は今や押しも押されぬ大物俳優で、あちこちで彼の顔を見かけた。その度に、私は少しだけ胸がざわついて、甘酸っぱい気持ちになる。
今でも褪せることなく輝いているあの日々も私の大切な宝物だけれど、手の中にいる小さな宝物がにこっと笑うと、私はしみじみとした幸福感に包まれる。
私は幸せだった。
直樹は私がちょっと驚くほど子煩悩で、めいっぱい甘やかすものだから、私はそんなに甘やかすと、わがままで傲慢な子どもに育っちゃうよ、といつも注意しなければならない。
そうすると、直樹は、「『佐々倉のノゾミ様』の誕生か。いいんじゃないの?」と笑って一層希美を甘やかす。
私は、それも悪くないか―—、と呟いて、嬉しそうにいないないばあをする直樹とににこにこと笑う娘を飽きる事なく眺めていた。
(完)
