めぐり逢えたのに
年末からお正月にかけては、親戚の人との集まりとかが色々あって、彼に会いに行く時間なんて全然なかったから、私は、三学期が始まってすぐに、彼に会いに行った。気まずい思いをしてたのは私の方だけだったようで、彼は私の顔を見るとけろっとした顔で、

「久しぶり。会いたかったよー。」

と言った。
なんか、いつもの彼だったので、私もつい、気軽に、

「パパに結婚するって言っちゃった。だから、今度ウチに来て。みんなに紹介したいから。」

と言ったら、彼は大慌てで私を詰った。

「うわあ、何てこと言ったの……。君はさ、まだ結婚したいわけじゃないんだから、そんなこと言わないでパパに取り消しておいで。」
「だって、じゃあ、いつになったらキスしてくれるの? エッチしてくれるの?!」

私はあまりにも焦らされるのでたまらなくなっていた。大体、私は待たされるのがこの世で一番嫌いなのは、彼も知っているはずなのに。

「………ちょっと落ち着いてよ。もう、盛りのついたネコじゃあるまいし。」
「だって………」
「いい、結婚とかそういう物騒なことは言わないで、パパにちゃんと訂正してくるように。わかった? じゃなきゃ、もう会わないよ?」
「………はい。」

でも、私は、彼に言われた事をちゃんとパパに話さなかった。
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