きみと、春が降るこの場所で


「桜、見に行こうな」


詞織に言われなくても、開花状況くらい調べていた。

明後日、ちょうど満開を迎えるらしい。


雨の予報もないし、今度こそ見せてやれる。


「行けるかなぁ…抜け出すの意外と大変なんだよ」


「去年は出来たんだから、きっと上手くいく」


なんだか、逃亡幇助をしている気分になる。

幇助というよりは、共犯なのだけれど。


「楽しみにしてるね」


そう言いながら、あまり乗り気じゃなさそうに見える詞織が考えている事なんてお見通しだ。


雪を見たいと言ったくせに、降ってみると悲しそうにしていた、あの時と同じような事を思っているんだろう。


最後になんかさせない。

来年も、再来年も、そのずっと先も。

俺の未来が続く限り、何度だって連れて行く。


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