3年間の好きをあなたへ…
高校三年生の春、私は暇を見つけては数学準備室に顔をだしていた。
勉強や進路の相談はあくまでも口実。少しでも先生に近付きたかったから。
そんな私を先生は何故か何も言わず受け入れてくれた。
幸福なことに再び私の担任になった先生。
それをいいことに他愛ない話、そして時には本当に数学の質問。
いつも差し出してくれるのは甘いココアと、一口サイズのお菓子。
そしてなによりの先生の優しい笑顔。
それが全部特別で、私は不覚にも軽い恋愛でもしているような気分だった。
ほのかに漂う煙草の香りは私にはちょっぴり刺激的で、ずっとこんな日が続いてほしい。
だけど、私にはもうそこまでタイムミリットが迫っていた。
先生に近付けば近付くほど苦しくなる思い。
だけど変わらない私と先生の関係。親密になるほど分かる私と先生の間にあるぶ厚い壁。
だから最近の私は声に覇気がなく、
「……好き、です」
と、少し弱気な声になってしまった。