彼女のことは俺が守る【完全版】
「さあ、新郎新婦にお祝いをいわないとね」


 海斗さんの言葉に私は上を向くことが出来た。

 目の前には私を絶対に守ってくれると言ってくれた人がいる。


 一段と華やかさを増したバリトンの声と共に、海斗さんはゆっくりと私に対して言葉を発している人の方を向き、私には大きく逞しい背中を見せた。さっきの言葉の数々を言っていた周りから遮るように背中しか見せないその優しさに涙が出そうになる。私はその背中を見ながら縋りたくなったのは心が行き場を失っているからかもしれない。


「なんでここに篠崎海がいるの?」


 そんな誰かの声で、一気に周りが過熱していく。私から見えないけど、声の抑揚から俳優である海斗さんの存在がその場にいる人を高揚させていくのを感じさせた。俳優篠崎海の登場はその場を一気に色を変えていく。


 俳優 篠崎海。
 その威力を目の当たりにする。


「里桜の知り合い?そんな話は聞いた事ないよ」


「こんなに間近に見たのって初めて。でも、恰好よすぎる」


「何かの撮影?それともこの結婚式に出席するの?」


 目の前にある背中がゆっくりと横に動いたと思うと、そこにはさっきとは違う羨望の眼差しがあった。さっきの辛辣で侮蔑の言葉を投げかけたのにとは思うけど、これが海斗さんの力なのだろう。圧倒的なオーラはその場を完全に支配していた。

< 136 / 188 >

この作品をシェア

pagetop