彼女のことは俺が守る【完全版】
 いつもの優しい微笑みを私だけ向け、明るい太陽の光が零れ落ちるように海斗さんだけを照らしているかのように見えた。その場の誰よりも私が海斗さんに魅了されていたような気がする。


 海斗さんは少し身体を屈めて私の耳元で甘いバリトンを響かせた。


「この中で一番里桜が綺麗だよ」


 一気に私は真っ赤になったと思う。いつも優しいのに、今日は海斗さんの中に何かの思いがあるのかしらないけど、華やかさも何もかもが違う。そして、海斗さんは私の身体にそっと手を伸ばすと、優雅な動きで私の腰を抱きよせたのだった。



 モデルをしていたと言っていただけあって、海斗さんの歩き方はとっても綺麗で、それでいて、私が歩きやすい様にゆっくりと歩調を合わせてくれていた。



 さっきまで騒いでいた人たちも海斗さんが歩き出すとともに自然に前を空けていく。視線がとっても痛いと思いながらも私は海斗さんにエスコートされて歩いていく。招待客の集まっている場所を通り過ぎると、私はフッと身体から力が抜けるような気がした。


 もっとひどいことを言われる覚悟は出来ていたけど、それでも、自分に向けられる悪意のある言葉は苦しかった。海斗さんが居なかったら私はきっと泣いていただろう。


「海斗さん。ありがとう」

「俺は何もしてないよ。さ、会いに行こうか?」

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