彼女のことは俺が守る【完全版】
 マンションから海斗さんの予約した焼肉店まで車で二十分くらいの距離だった。近くの駐車場に止めて歩いて三分ほどで着いたその場所は私も名前くらいは知っているが、もちろん入ったことはない店だった。


 由緒正しい焼肉店は芸能人だけでなく各界の著名人にも御用達のお店で最高級の牛肉だけを使用するということで贔屓にしている人も多いはず。店も自信を持っているからか値段も気合が入っているはず。


「いいの?ここ高いでしょ」


「構わないよ。ここの牛タンのねぎ塩焼きがかなり旨い。里桜は牛タンは食べれる?」


「はい。好きですけど」


「それならよかった。さ、入ろうか」


 海斗さんは店の中に入っていくので私もその後を付いて入った。シックな店内は私が知る雑多な焼肉店とは全く違い、高級と言われるだけあって、雰囲気もとっても素敵だった。海斗さんと私は予約していたからか、店の一番奥の座敷に案内された。


 私は初めての経験でドキドキしているけど、海斗さんは慣れたもので、動じずに入っていく。一番奥の座敷はそんなに広くはないけど、狭くもない部屋だった。二人で並んで食べるには十分な部屋に海斗さんと私は案内された。水入らずという言葉が良く似合う部屋だった。


 ドリンクメニューを見ながら海斗さんと私は烏龍茶を頼んだ。すると、着物を着た女性は優雅にお辞儀をしてから部屋から出て行くと海斗さんと私の二人っきりになる。真向かいに座りながら海斗さんはニッコリと笑った。
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