彼女のことは俺が守る【完全版】

「こちらの部屋にあるディスプレーで会見を見ることが出来ます。お飲み物はルームサービスを利用されてください。すみませんが、私はこれで失礼します」


　高取さんが行ってしまうと、雅さんはニッコリと私に微笑み掛け、ゆっくりと私をソファに座らせる。そして、その横に自分も座った。


「今日は高取さんの方が落ち着かないかもしれないわ」


「そうですか？いつものように見えますけど」


「高取さんにとって篠崎くんは特別なのよ。だから、今は心配で仕方ないと思うわ。そろそろ会見が始まる時間ね」


　雅さんがニッコリと笑ってからリモコンを押すと壁にある大きなディスプレーに会見場らしき場所が映し出され、そこには驚くほどの人が集まっている。中央に用意された椅子だけでなく、周りには数えきれないくらいのカメラが並んでいる。


　まだ海斗さんが現れてもないのに舞台に向かってフラッシュが光っていて、これからの海斗さんの会見が滞りなくカメラに収めるように準備万端な状況であるのが私にもわかった。私の想像を大きく超えたその状況に息を呑む。私の頭の中の想像は数人の記者とカメラに囲まれるくらいかと思っていた。でも、実際は違う。


「そんなに心配しないで大丈夫。篠崎くんは俳優という仕事をしているのだから、フラッシュにも慣れているし、こういう場所もそんなに緊張しないわ」


「でも、人が多いです」


「そうだけど、あの『篠崎海』が結婚会見をするのだから、これくらいは普通でしょ」