彼女のことは俺が守る【完全版】
 それに自分の元彼と元友達の結婚式に祝福するとでも??眩暈は酷くなる一方だし、さっきから頭が割れそうに痛い。不整脈なのか何か知らないけど心臓の鼓動さえも可笑しい気がした。それなのに彼女の言葉は終わらず、最後のトドメを刺しに来る。


 彼女はゆっくりと自分のお腹をゆっくりと左手で擦ると薬指にキラッと光るものがあった。それは誰が見ても分かるエンゲージリングで、私が優斗から貰うのを楽しみにしていたものが今は彼女の指にある。ワザと見せるようにゆっくりと私に見せつけてから自分の下腹部にゆっくりと手を当てたのだった。


「今、三か月なの。優斗くんとの赤ちゃんがいるの。ウェディングドレスを綺麗に着たいなら今がギリギリでしょ」


 三か月??


 優斗の仕事が忙しくてここしばらくは会えてなかったけど、三か月前なら、私のアパートの部屋で週末を過ごしている頃だとすると、私に愛を囁くその口が同じように友達にも愛を囁いていたということになる。この二人の仲はつい最近始まったものではなく、お腹に三か月の子どもを宿すほどの付き合いがあったという事だった。


 もしかしたら、出張が続いていたのも彼女に会っていたためなのかもしれない。


 私はそれを信用していた。


 呆れるというより、自分の男を見る目の無さに更にガッカリした。まさか私が二股を掛けられ、その上捨てられるなんて思いもしなかった。

< 20 / 188 >

この作品をシェア

pagetop