彼女のことは俺が守る【完全版】
「でも…」

「パスタは嫌い？」

「好きだけど」

「なら、少しだけ待って」


　そういうと、篠崎さんは手際よくパスタを茹で始めた。その横で、細かくスライスした玉ねぎとベーコンをオリーブオイルで炒めていく。まるで歌いながらしてるかのように軽快にフライパンを動かしている。その姿は手馴れていた。そして、そこに小麦粉と牛乳が加えられ、出来たのはクリームパスタだった。いつの間にかブロッコリーまで入っているのだから、驚いてしまう。


「さあ、どうぞ」


　そんな言葉と共に私の目の前に置かれたのはどこから見てもどこかのイタリア料理の店で出てくるようなクリームパスタだった。大きめのお皿の真ん中に盛られていた。これでパセリとかと散らしたら間違いなく店でも出せるような綺麗さだった。


「はい。あの、ありがとうございます。とっても美味しそうです。いただきます」


「ああ。味に保証はないから、過剰な期待しないでくれ」


　そうはいうけど、このパスタはとっても美味しそう。さっさと男の人が作ったとは思えないくらいにとっても繊細な感じだった。私はテーブルに座ると、フォークにパスタを巻きつけ口に運ぶ。


　見た目は濃厚なクリームパスタなのに、あの舌に残るような独特な味がとっても軽やかでとっても優しい味がした。ずっと何も食べてなかった私が食べれるように作ってくれたのだと思うとその優しさに涙が出そうになる。

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