彼女のことは俺が守る【完全版】
 新しい一日の始まりだった。


 思ったよりも前向きな私が居る。そして、今日の仕事も頑張ろうと思う。


 篠崎海のマンションを出て私は正直驚いた。


 昨日は夜だったし、涙であまり周りを見ていなかったから自分がどこにいるのか分からなかった。でも、篠崎海が言っていたようにここは私の勤める会社からとっても近い。会社まで徒歩でも行けるこのマンションは都心にあり、最高級と言われるものであり、篠崎海は若手実力派俳優で人気も絶大というのも知っていたけど、マンションの外観を見て改めて、昨日からの私の身の上に起こったことはまるで夢のようだとも思った。


 篠崎海はモデル出身で若手の中でも実力を兼ね備えた俳優で端正な顔でファンを魅了する。そんな彼はスタイルよりも何よりも素敵だと思ったのはその心の優しさ。私が今までに出会った人の中で誰よりも優しい人だった。


 そんな篠崎海と結婚。


 偽装とはいえ、私はどうしたらいいのだろう。まだ気持ちは決まらない。確かに何も考えずに篠崎海の手を取ったなら、幸せになりそうな気もする。でも、私には結婚に対しての思いもあって、すぐに結論は出そうもない。

 
 昨日からの感じでは篠崎海は私と本気で結婚するつもりなのかもしれない。考えれば考えるだけ深みに嵌ってしまいそうだし、頭の中が混乱する。そして篠崎海のことを考えていたら私は会社の前まで来ていた。本当にアッと言う間に着いてしまっていた。



「おはようございます」

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