彼女のことは俺が守る【完全版】
「いえ、雅さんに選んで欲しいです。でも、この店は少し」


 雅さんに任せておけば間違いないのは分かる。さっきの店でも遺憾なくその実力を発揮していた。きっとこの店でも私に似合うものを選んでくれるとは思う。でも、この店は…さすがに私には背伸びしすぎだった。


 ヨーロッパに本店を置くこの店はオートクチュールでも有名でコレクションでも絶大な支持を受けている。日本の店舗にもたくさんのドレスは置いてあるけど、そのどれもが値段は知らないけど高いのは間違いなかった。セレブ御用達の店に私のようなものが行くのは場違いだった。



「私に任せておけばいいのよ。これでも一応フランス帰りのスタイリストなんだから。里桜ちゃんに似合うのを探す自信はあるから」


 雅さんはニッコリと優しく微笑みながらいくつかのドレスの中で選んだのはとっても綺麗で可愛いドレスだった。私のイメージではもっと上品で大人っぽいものか、または少しセクシーなものばかりだと思っていたのに、こんな可愛いドレスまで置いてあるとは思わなかった。



 上半身は黒のビスチェタイプのもので後ろはリボンで編み込まれている。ウエストには大きめのリボン。アイボリーのスカートの上には何枚もの布が重ねられていて上品さを醸し出す。そのドレスに合わせるボレロはシフォンで出来てあり、パフスリーブの袖から肌が少しだけ透けていた。
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