命の軌跡
 私達はまだ結婚はしてはいないけど、このお腹の中の子のお陰で、結婚への一歩を踏み出すことが出来たの。

 所謂、できちゃった婚と呼ばれるもの。

「そろそろ、検診に行くか?」

 部屋でタバコを吸うのを止めて、少し一息ついた頃に、彼が言った。

 今日は検診の日で、今回の検診で、赤ちゃんの今現在の発育状況などが分かる。

 私は発育不良ではないかという不安が頭を過ぎり、すぐには検診に行く気にはなれなかったのだ。

 息を整え、こくりと頷くと、彼は私の体を軽く支えながら、車まで誘導してくれた。

 大きく膨らんだお腹を抱えながら、ゆっくりと助手席に腰を下ろす。

 私が腰を下ろしたのを確認すると、彼は私の体を心配しながら、ゆっくりと車を出発させた。

 ガタンという、少しの揺れでも、今の私の体には随分と負担がかかる。

 車での移動でさえ、こんなにもしんどいとは正直、想像もしていなかった。

 痛みを堪え、やっとの思いで病院に着いた。

 私の体を気遣いながら、安全運転を心掛けてくれたのか、前回の検診の時よりも、病院までの移動時間がかかったような気がする。
 
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