アタシ、好きって言った?
恋に落ちた夜
渇いた身体。
渇いたkiss。
ギャンブルで手にした金で、自分を潤す休日。
「お客様、延長なさいますか?」
3人目の渇いた姫が去った後、ボーイが薄暗いブラックライトの灯りの中に入りこんできた。
「いや、帰るよ」
「お客様、いつもご来店されてますが指命されませんね?良い女の子いませんか?」
「いや、皆カワイイよ。だから指命しなくても楽しいよ」
「そうですか。ありがとうございます。またご利用下さいませ」
3人の渇いた姫とkissをして身体を触って45分で8000円。
「一人の取り分はいくらだろう?」
そんなことを考えながら、繁華街を歩いていた。
「今日は家に帰りたくないな」
たくさんの店のきらびやかな看板の脇で、ボーイ達が誘いを投げかけてくる。
「今日は泊まって朝に帰ろう」
安いホテルを探し路地裏の細道に入る、
電信柱に貼ってあるチラシが目に入る。
「最後に呼ぶか」
ホテルに入り携帯を手にとる。
「お客様お好みのタイプはありますか?チェンジは1回までOKです」
「若い女の子で」
30分程でノックをする音がした。
「お客様よろしいですか?」
「ごめん、チェンジで」
どうみても母親と変わらない容姿。
「泡銭にラッキーなんてないか」
タバコに火をつける。ブラックライトの中飲んだ安いウイスキーを洗い流すかのようにビールを開け、一気に飲み干した。
「コンコン」
ノックが鳴る。
ドアを開ける。
「お客様よろしいですか?」
言葉が出なかった。
「お客さん?」
彼女から目が離せなかった。
「あっ、ごめん。入って」
「失礼します」
「お風呂入れますねー。温度はー?」
「あっ、熱くしてくれる?」
「はーい」
ビールを飲みタバコに火をつける。
「お客さん若いですね?いくつ?」
「24歳」4歳サバよんだ。
「そっかー。アタシ26だから近いね」
そう言って彼女は笑った。
僕は恋に落ちた。
一目惚れだった。
6月27日。
彼女と出逢った日。
僕の頭にインプットされた。

「一緒にお風呂入りませんか?」
「あっ、うん」
ベットサイドのオレンジのランプの灯りの中、彼女はゆっくりと服を脱ぎ始めた。
とても美しく、そして何故か痛々しく見えた。
「アタシ来る前にチェンジしたよね?どうして?」
湯船の中で脚を絡ませながら彼女は笑いながら言った。
「だってオバサンだったから・・・」
「そっか。でもあの人良い人だよー。昼間は化粧品屋で働いててね、アタシに化粧品のサンプルとかいっつもくれるんだ」
「君は昼は何してるの?」
聞きたくても聞けなかった。
「お客さんは何してるの仕事?」
「トラックに乗ってる。コンビニに配るやつ」
実際は配達がたまにで、ベルトコンベアーに流れるコンビニ弁当に延々と具材をのせる派遣社員。
「そっか。大変だねー。事故起こさないようにね!身体洗ってあげるよ!」
笑いながら彼女は僕を湯船から追い出し、身体を洗い始めた。

「ねぇ?キスしよっか?」
彼女に触れた瞬間、
僕は2度目の恋に落ちた。

「ねぇ?何もしなくてイイの?」
ベットで彼女の手を握り天井を見ていた僕の顔を覗きこんで彼女は言った。
「うん。これでいいよ」
「そっか。じゃあキスしよっか?」
僕は3度目の恋に落ちた。

タイマーの音が鳴る。
「わ~、もう時間だ!キスしかしなかったね?」彼女は笑っていた。
もう逢えないのかな?そう思った瞬間。
「明日逢えないかな?大通りの電力ビルの前で待ってるから!」
僕は何を言ってるんだろう。ダメに決まってるじゃないか。恥かいて終わりだ。バカだな。何を言ってんだろ。
汗が止まらなかった。


「本当?ずっと待っててくれる?」
彼女は笑っていた。
「待ってるよ。君が来てくれるまで待ってるよ!」
僕は何を言ってるんだろう。
「じゃあ、アドレス交換しよっか?」
「うん。ありがとう!本当にまた逢いたいんだ!」
彼女はクスクスと笑いながら
「そっか。アタシのことスキになったんだ?」
僕は4度目の恋に落ちた。

「じゃあ明日ね!」
彼女は笑顔でドアを閉めた。
あっ、彼女の名前・・・
僕は名前も知らない女の子を好きになったんだ。
交換したアドレスを見ると名前が入っていた。
natumixxx@〇〇〇〇〇jp
「ナツミちゃんか」

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