Fiore Zattera

ビスコッティ






親友の母親が逝去した。

それは突然の報せだった。
結婚して子育てに奮闘していたあたしは、壱花と連絡を取ることが前に比べて断然減った。

仕事の愚痴を黙って聞いてくれるのは壱花の方なのに、気を配れない自分が情けない。

久しぶりに見た壱花は、疲れていて痩せていた。

大丈夫? と声をかけることも出来ない。

親戚がいない壱花の、お通夜とか葬式の手伝いをすることくらいしか出来なかった。

親戚はいなくても、壱花のお母さんを慕っていた人が沢山集まった。人手は足りていた。



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