先生は私の旦那様
夏の思い出
車に乗り込み碧と尚樹が『クロリンお世話になります。』と挨拶をすると直寿は『おぅ!』と返事をしエンジンを掛けた。



「さっ出発!!」

と上機嫌で後部座席から合図を出したのは直樹だった。



夏休み中だが平日の為スムーズに車も流れていた。途中尚樹が朝食を食べていないからとドライブインに寄り中華まんを食べた尚樹だったが、その後もドライブインに寄るたびに焼きそば、メロンパンと食べていた。

初めは後部座席だった尚樹を助手席に乗せ私と碧は後部座席で女子ふたりでアイドルの話やテレビ番組の話、ファッションの話で盛り上がっていた。

途中、碧と内緒話をしてふたりでクスクス笑うと尚樹は『なになに?俺にも教えろよ!』と言うが碧が『男子にはナイショ!』と言うと尚樹は『チェッ』と拗ねていた。

私はルームミラーで直寿の顔を見るとミラー越しに目が合い微笑んでくれる。

途中のドライブインで少し早めの昼食を食べる事にした。
尚樹はさんざん食べて居たにもかかわらず直寿の作ったおにぎりを大きな口でかぶりついて私の作った卵焼きを『やっぱり稀美果の卵焼きはうまい』と食べていた。

勿論、直寿も大好きな卵焼きを美味しそうに食べて『うん美味しいよ』と微笑んでくれる。そんな姿を見て私も微笑むと、碧からお弁当を食べ始めたばかりだというのに『ごちそうさま!』と言って笑われる。

もう直ぐ名古屋に入るという所で直寿は『波瀬川にはカモフラージュを頼んでるからお礼をしないとな?』と言って寄り道をすると言い出した。



寄り道?何処に寄るんだろう?…



稀美果が聞いていたのは今日は水族館に行くと言う事だけだった。

着いた所はトヨタ自動車が保有する総合スポーツ施設「トヨタスポーツセンター」だった。

ここにはグランパスの選手がトレーニングに励む練習グラウンドがあり練習は自由に見学が出来、グラウンドには隣接した観客席もあった。

あいにく今日は主力選手には会えなかったがサッカー馬鹿の尚樹は大はしゃぎで、『クロリン大好きだよ!』と直寿に抱き着いていた。

碧と私は尚樹ほどサッカーが好きな訳ではないがそれでも興奮して練習風景を観ていた。

観客席からは選手との距離も近く練習後にはサインや写真撮影もお願い出来た。






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