変わらぬ愛なんて、あり得ない!【甘い香りに誘われてⅡ】spin off

公認の仲

11月になり、街や中庭の樹々が色づき始めた。

テレビでは、各地の紅葉がちらほら見頃になったと中継をしている。

矢野さんの部屋のリビングで、二人並んでテレビを見ながら、次々と映し出される紅葉の映像にわくわくする。

「遠い所は難しいけど、近場なら行けるかな」

「本当ですかぁ?行きたーーい」

つい居心地が良くて、なかなかお試し同居の解消を口に出来ず、今日まで続けてしまってる。

今晩も、芋焼酎を片手に、矢野さんと買い出しに出かけ、買ってきた新サンマを頬張りながら、テレビを見てまったり過ごしている。

「森伊蔵をもらえるなんてぇ、矢野さん凄い。交友関係どんだけ広いんですかぁ…」

「福岡にいた頃に、仲良くしてた爺さんが、毎年送ってくれるんだ。いいだろう……て、美咲、飲み過ぎ」

手に持ってた焼酎グラスを取り上げられる。

「えーーっ、飲んでるのに…」
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