変わらぬ愛なんて、あり得ない!【甘い香りに誘われてⅡ】spin off
「矢野さんは、まだ仕事ですか?たまには早帰りしてくださいね。ご馳走さまでした」

空のカップを片付けようと、矢野さんに手を伸ばすと、その手をぎゅっと握られ、腕の中に閉じ込められた。

頬に、矢野さんの温かい手が触れる。

「あーあー、またこんなに冷たくなっちゃって」

矢野さんが、私の頬を、何度も何度も優しく撫でた。


温かいこの手が好きだ。


矢野さんの事が好き。


でも言わない。


この気持ちを伝えてしまったら、矢野さんが、こうして私に触れる事は無くなるだろうから。

矢野さんにとっての一番は、三嶋さんだ。

勘違いしてはいけない。


やがて、温かい手は離れ、私は中庭を後にした。
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