変わらぬ愛なんて、あり得ない!【甘い香りに誘われてⅡ】spin off

楽しい同行

昼休憩が終了する10分前に、中庭を後にする。

悠里と別れ、洗面所で身支度を整えて、5階のフロアを歩く。

さあ、午後も頑張ろう。



不意に、グイッと腕を引かれ、廊下の柱と柱の間に押し込められた。

「ひっ…」

驚いて、声も出ない。

掴まれた腕の主を見上げる。

「な、何でしょうか?矢野さん」

驚きの余韻で、バクバクした心臓を悟られないよう、努めてゆっくりと言葉を紡ぐ。

「備品保管庫にいたのは俺だけど、サボってない。印刷用紙を取りに来たところを、襲われたんだ」

はっ?

「お、襲われた⁉︎ 」

更に驚いて、声が大きくなる。

大きな手で、口を塞がれた。

「わっ、声デカいって…とにかく、イチャついてたとかじゃないから、誤解を解きに来たの。分かった?」

ただでさえ近いのに、矢野さんの顔が更に近付く。

「……はい」

ち、近いってば!













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