変わらぬ愛なんて、あり得ない!【甘い香りに誘われてⅡ】spin off
乾いた初夏の風が吹き抜け、瀬戸の長い黒髪が風になびく。

そんな長い黒髪を1束すくい取り、その髪にキスをする。ローズ系の微かな香りが鼻をくすぐる。


軽い目眩がした。


「業務終了後、午後6時に三光堂一階に来い」

「何を言ってるの?」

身勝手な俺の言葉に固まる瀬戸。

そりゃあ、そうだろ。俺だって呆れてる。

でも、止まらない。


固まる瀬戸を残し、中庭を後にした。

しまった…

口調が素になってたな。まあ、いい。


…て、俺ら付き合うのか?

自分で言っておいて、俺は自分の気持ちが定まっていない。

瀬戸は、来るだろうか?
< 39 / 212 >

この作品をシェア

pagetop