百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
はっ!
私は急いで現実へと引き戻る。
だ……ダメだ。
危うく、妖に乗せられるとこだった。
私は、妖の手下になんて………!
すると、芝狸はさっきよりも小さな声でささやいた。
『それに、わしの手下になれば、
一日中、周の側に居られるぞ。』
!
「なります!ならせてもらいます!!」
………。
はっ!
“周くん”につられて、つい!
芝狸は、確信犯の笑みを浮かべる。
や………やられた!
すると周くんは、にっこりと笑って言った。
「本当?ありがとう。
佐伯さんが仲間になってくれて嬉しいよ。
これからよろしくね。」
うっ!
王子スマイル!!
やめますなんて言えない!!
すると芝狸は、すとん、と床に降り立った。
二本足で立ち上がる。
『そうと決まったら、早速事務所に移動じゃ
“奴ら”に対抗する作戦を練るぞ!』
…“奴ら”?
芝狸は、ぴょん、と周くんの肩に乗っかる。
すると、周くんは私の方を向いて言った。
「佐伯さん。これから僕らのアジトに案内するから、僕について来て。」
へ?アジト?
そんなものがあるんだ。
……私、実はとんでもないことに首を突っ込んでしまったんじゃ……?
私は、心に一抹の不安を抱えながら
周くんの後に続いて、アパートを出たのであった。